投扇興(とうせんきょう)とは?基本的な遊び方、投げ方のコツ
日本の伝統的な遊びである「投扇興(とうせんきょう)」は、扇子を投げる美しさが大きな魅力です。舞妓さんのお座敷遊びのイメージがあるかもしれませんが、実は多くの流派や団体があり、投扇興の大会も開催されるほど人気があります。最近では、投扇興を初めて遊ぶ方へ向けて、体験できるイベントも開催されています。試合では着物で対戦することも多いので、和装で遊んでもさらに楽しめそうですね。本記事では、そんな投扇興の遊び方について解説します。
投扇興(とうせんきょう)の意味と歴史
扇子を使って遊ぶ、日本の伝統的なゲームの「投扇興(とうせんきょう)」。一体どのような遊びなのでしょうか。ここでは、投扇興の特徴や歴史について解説します。
投扇興とは?
「投扇興(とうせんきょう)」とは日本の伝統的な遊びで、扇子を使うのが特徴です。「枕」と呼ばれる土台に「蝶」と呼ばれる的を立てて、蝶へ向けて扇子を投げます。そして、投げた扇子が落ちたときの蝶・枕・扇子の形(=銘)によって、得点が与えられるのです。投扇興は対戦型のゲームであり、一対一(2人)で行われます。点数の付け方は、流派によってルールが異なります。よく知られているのは、それぞれの銘に日本の古典文学にちなんだ名前がつけられた、源氏物語形式や百人一首形式の遊び方です。たとえば、源氏物語になぞらえた銘では、「花散里」が1点、「夕霧」が8点といった形で点数が決められています。
投扇興の歴史
投扇興といえば、現在は京都の舞妓さんのお座敷遊びのイメージが強くあるかもしれません。しかし、実は江戸時代に庶民の間で広まった遊びなのです。当時の投扇興は、子どもから大人まで幅広く親しまれていたといわれています。そもそも投扇興は、中国の投壺(とうこ)という遊びが起源だとされています。しかし、投壺はルールや作法がわかりづらいのが難点でした。そこで、誰もが遊びやすいように生まれた遊びが投扇興だったのです。こうして大流行した投扇興は、やがて賭博にも使われるようになり、幕府から禁止令が出たこともあったといいます。それでも、明治時代になり西洋文化が広まるにつれて、遊ぶ人が少なくなってしまいました。そんな投扇興ですが、現代まで数々の団体によって継承されており、再び知名度を高めています。
投扇興(とうせんきょう)
投扇興に必要な道具と遊び方
投扇興で遊ぶために必要な道具や、遊び方についてお伝えします。最近では、オンラインでも気軽に道具のセットを入手しやすくなっているので、伝統的な投扇興でぜひ遊んでみてはいかがでしょうか?
投扇興に使用する道具
投扇興では、「蝶(的)」「枕(土台)」「扇子(投扇興用)」の3つの道具を使います。
蝶
蝶とは、イチョウの葉のような形をした的のことです。布張りで、両側に糸などで鈴を垂らしたものが多くなっています。また、軸の下部には5円玉を数枚重ねた錘が付いているのが一般的です。なお、市販されている蝶によって、大きさや重さに差がある場合があります。蝶の倒しやすさにも影響するため、投扇興の団体や大会に参加する際は、練習に適したものをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
枕
枕とは、蝶を載せる土台のことで、桐製のものが一般的です。流派によってサイズが異なりますが、高さは17.5cm、天板は9cm×9cmのものが標準的とされています。側面に絵柄があしらわれたものが多いので、お好みのデザインを選ぶと良いでしょう。市販品の中には、標準よりもやや高めの枕も見られるようです。蝶を選ぶときと同様に、練習に適したサイズをご確認いただくようおすすめします。
扇子
投扇興に使われる扇子は、通常の涼を取る扇子とは異なり、専用の規格が設けられています。その理由は、扇子を投げたときに飛びやすくするためです。投扇興専用の扇子は、骨の本数を少なくかつ薄くすることで、軽量化されています。また、投扇興では何度も扇子を投げることで破れたり傷んだりしやすいので、専用の扇子は消耗品と考えられている点も大きな違いです。投扇興の道具を揃えるなら、専用の扇子をご用意いただくようおすすめします。
投扇興の遊び方
投扇興で遊ぶときは、まず2名の対戦者の中央に枕を設置して、その上に的となる蝶を置きます。この状態で的に向かって交互に扇子を投げて、銘の合計得点の高い人が勝ちです。
銘の中には、得点が入る形だけでなく、得点が入らずに無点となる形や、反対に減点となってしまう形もあります。たとえば、扇子が枕に当たる「コツリ」は、1点の減点です。
扇子を投げる回数や点数の数え方は、流派によって異なります。銘の種類と点数は、各流派が公表している銘定表で確認できるほか、市販の投扇興セットに銘定表が付属していることがあります。
投扇興の扇子の持ち方と投げ方
投扇興で扇子を飛ばして的に当てるには、持ち方や投げ方にコツが要ります。通常の扇子とは異なる扱い方をするので、遊ぶときは以下のポイントを押さえておきましょう。
投扇興の扇子の持ち方
投扇興で扇子を持つときは、右手を使います。広げた扇子の要を下から親指で支えて、残り4本の指を揃えて上から挟みます。扇子を投げるときは、このように親指側が下になった状態で、扇面が水平になるように構えましょう。
投扇興の扇子の投げ方
投扇興で扇子を投げるときは、正座をして扇子を水平に構えてから、前に押し出すようにして投げます。このとき、軽く手前に引いて勢いをつけると、遠くまで飛びやすくなります。なお、投扇興での扇子の投げ方には決まりごともあるため、押さえておきましょう。たとえば、扇子を投げるときは正座をした状態からお尻を上げてはいけません。背筋を伸ばして、上体を的に近づけるようにして投げるのがポイントです。
扇子を使った投扇興で遊んでみましょう!
投扇興(とうせんきょう)は、扇子を使った日本の伝統的な遊びです。投げた扇子がふわりと飛び、鈴のついた的を倒す様子には、他にはない趣があります。お座敷遊びとしてのイメージが強いかもしれませんが、昨今では伝統文化に興味をお持ちの方をはじめとして、再び投扇興が注目を集めつつあります。ルールも簡単でわかりやすいので、ぜひ投扇興で遊んでみてはいかがでしょうか。日本橋に続く扇子の老舗である伊場仙では、目的やシーンに応じて多彩な扇子をご用意しています。
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