歌舞伎役者文様と歌舞伎紋
「江戸団扇 浮世絵 豊国 彫竹」
もともとこの団扇は、歌舞伎役者のスキャンダルを描いた団扇絵からつくられました。
伊場仙は歌舞伎との縁も深く、十九世紀初頭には、今でいう役者のプロマイドとして、歌舞伎役者が描かれた団扇絵を販売しておりました。
下の豊国 彫藤と合わせて、関東大震災、第ニ時世界大戦を免れた歌舞伎の団扇絵はこの二柄だけになります。
「江戸団扇 浮世絵 豊国 彫藤」
こちらは歌舞伎の演目勧進帳。
江戸時代、浮世絵は歌舞伎の宣伝媒体の役割を担い上演される演目ごとに発売されたそう。
浴衣や帯、手拭の柄や家紋で江戸の人々はどの役者かすぐにわかったようです。
江戸扇子 「隈取」
隈取とは色そのものや色の濃淡で、遠近をつける方法の事で、日本画の手法で、隈取を入れる事で絵に立体感が生まれます。
歌舞伎で隈取を始めたのは、初代の市川団十郎と言われています。浄瑠璃の人形から隈取のヒントを得たと言われています。
歌舞伎は江戸時代に始まりましたが、当時の芝居小屋は電気の照明がなく薄暗いので、役者の表情がわかりにくいという問題があり、少しでも役者の表情がわかりやすいように、白塗りの顔に派手な隈取模様をとるようになったと言われています。
隈取の色にも意味があり、赤は正義・青は邪悪・茶色は魔物で、形も様々な種類がありおよそ百種類ほどあるようです。
歌舞伎 隈取り 一覧
伊場仙の隅取り扇子の3つの隅取がどれに当たるかおおよそですが、左の一覧からご覧いただけます。
◆一番左が、最も歌舞伎でよく使われる筋隈(すじぐま)、荒事の代表的な隈取りです。
『矢の根』の曽我五郎
◆真ん中が、むきみ隈(むきみぐま)少し繊細で色気がある感じです。
『助六由縁江戸桜』の助六
◆右が、猿隈(さるぐま)豪快な武士なのに、滑稽(こっけい)でおかしみのある役に使われます。
『寿曽我対面』の小林朝比奈
役者文様いろいろ
江戸時代の歌舞伎役者が、それぞれの座をアピールするために考案した役者文様。何種類もの文様を組み合わせ、発達させ、ユニークで粋な形の「役者紋」。歌舞伎役者と観衆をつなぐ、粋を極めた役者文様です。
歌舞伎紋様の扇子
歌舞伎紋も文様と同じく舞台衣装や小道具手ぬぐいなどに使われてきました。
市川團十郎の三桝紋は有名ですね。
三桝紋様の扇子と扇子袋
いろいろな紋様
吉原つなぎや火事の多かった江戸時代の町火消しの各組みが用いた旗印、纏(まとい)など、江戸時代を象徴する紋様があります。
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浮世絵江戸団扇絵(錦絵・大和型)は、版元伊場仙が多色摺り団扇絵(うちわえ)として制作したものです。この唯一現存する版木画をもとに、今回、伊場仙が印刷、制作いたしました。
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